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想い出のマカロン日記~その10

小さな小さな、のぞき窓が有ります。

この窓は、綺麗に均等にしぼったマカロンを覗く、オーブンの窓です。期待や希望、心配などの気持ちを込めて覗く小さな窓です。

子供の頃かくれんぼで、押入れに隠れてふすまの間から、鬼に見つかるまいと恐る恐る覗いてたあの感覚とよく似てます。

今でこそ、そんな気持ちは少なくなって、あたりまえの感覚で何気なく覗きますが、オーブンの仕事を始めて任されたころは、ちゃんとマカロンは膨らむんだろうか?どんな感じでマカロンが膨らんでいくんだろう?焼き色はどんな感じでマカロンについていくんだろう?気が気ではなく気にかかり、そのマカロンの変化が楽しくてしょっちゅう、しょっちゅうのぞいたものです。

マカロンの時もそうです。

今までに無い、感覚の生地です。その小さな窓から、刻々と変化していくマカロンを全て知りたくて、また願いを込めてのぞいていました。

あっ!マカロンが膨らみ始めた。

よし!!  いいぞ、マカロン! その調子。

表面に優しく乾いた感じが出てきました。ピエもほんの少し!よし!今だ。

こんな具合に小窓から観察し、胸の高まりを感じながらその一瞬一瞬を見逃すまいとマカロンに穴があくんじゃないかしら?ってほど見つめました。

次に180度のオーブンにマカロンを移します。

可愛らしいピエが出てきます。

これがまた不思議で、出てくる様がまるで生き物のようで、またなんでこんな変化するのか楽しくてしかたありませんでした。

この小さな窓は、秘密が隠された小部屋を覗く窓みたいなものだと思います。

僕が、パテシェになって今まで修行した時間や技術や、マカロンなどのお菓子に対する考え方が、この小さな窓から全て見えるのです。ある時は、自信を持たせてくれたり、ある時は、こなごなに打ち砕かれたり、打ちひしがされる時も有ります。ある時は、もう少し頑張れと励ましてくれるのが、小さな窓から見えます。

ピエも出て、ほんの少しマカロンの表面に色がつき始めてきました。

よし今だ!

150度のオーブンにマカロンを移し変えます。この時点でマカロンの決着はついています。

この後、焼きつづけず、悔しさや歯がゆさと供に捨てる事もこの頃は多々ありました。最初の頃は、この出来そこないのマカロンで、ごみ箱がいっぱいなんてのもざらで・・・。

ひしゃげたドット柄のカラフルな、マカロンを見ると情けなくもありました。でも美しく焼き上げる事の出来たマカロンは、均整の取れた調和的な美しさがあります。

自然と人間の手により創造された美しさがマカロンにはあります。このマカロンの美味しさと美しさを創り上げる為に僕は、ほんの少しの手伝いをしただけなのかもしれないと、気づくのはずいぶん経ってからの事でまだまだその頃は、マカロンを無理やり自分の力で作っていた感じがします。

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