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想い出のマカロン日記~その20

昨日に引き続いて、ダマスク ローズの話をします。

素晴らしい素材があると僕らは、その素材の特徴を最大限に引き出すのが仕事になります。この理論が解るのに僕の場合は、ずいぶんと時間を必要としました。

このバラの高貴で、優しさに満ちた香りは、余計な、パテシェとしての老婆心は必要としませんでした。若い頃、僕の場合、自分が作ったマカロンなどのお菓子が可愛くて愛しくて仕方ありませんでした。販売しないで自分で全部食べちゃおうかなんて時もあったりしました。

ですから、そのお菓子への思いが強ければ強いほど、自分らしさとか、この味は自分しか作れない味だなんて、思い上がった感情がニョキニョキ頭を出してきます。

これがほんとに質の悪い私心です。この気持ちを抑えるようになると、素材への尊重が生まれるような気がします。

余計な事はしてはいけない。複雑にしては駄目なんです。

パテシェとしての技量を見せる必要もないのです!

素材を尊敬しその力を信じる事です。

ほんの少しだけ、手伝えば大丈夫です。

少し、僕なりに感じるフランス料理と日本料理の違いみたいなものをお話してみます。話が横道にそれますが、お付き合いください。

フランス料理は、足し算の料理です。味香りが足りなければ、より力の強い素材を足し、新たな味を構築します。これは、フランスの文化性や国民性によるところだと思います。己が存在する事で他がある。人間性としては己の主張が強く要求されると思います。ところが日本料理は、引き算の料理です。余計なものを殺ぎ落とし、そのものを生かそうと考える料理です。これは日本人の独特の感性です。まず周りを考え自分を考える。仏教用語で言うと利他がこれにあたる言葉だと思います。ですから子供の頃から僕等の躾は、ここを中心に教育を受けます。

この考え方が根本に有りますから、僕も年齢を重ねてくると素材を活かすシンプルな考え方が生まれてきました。

若い頃のルセットをたまに見ることが有ります。いろんな複雑な工程や素材をたくさん入れ込んだ、複雑で自己主張の強い、ぎすぎすしたお菓子の羅列です。簡単に言うと頑張りすぎてるお菓子です。

このダマスクローズを通して、自分の過去を振り返る事が出来ました。そして素材の素晴らしさを活かすための方法や創造性を学んだ気がします。

ただ闇雲に工程や味香りを複雑にするのが創造ではないのです。勇気をもって単純にする事で新たな創造が生まれることを知りました。

僕にとっては、ダマスク ローズは、その指針だったかも知れません。

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