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2010年10月

ビオレソリエス

唐津は、ハウスみかんの産地です。海に近く穏やかで温暖な気候ですので理にかなった果実栽培だと思います。海側から山側の方へ穏やかな丘陵を登っていくと富田さんの黒無花果が見えます。今年で13年目を迎えられる黒無花果の栽培も最初の5年間は一切、実をつけることもなく並々ならぬ苦労をされていろんな栽培法を試され試行錯誤の末、現在の栽培法が実を結び、ほんとうに美味しい黒無花果を僕らの手に届けてもらっています。土地も環境も違うところでフランスから輸入された黒無花果の原木を育てることは至難の技で5年間は、無花果から収入を得ることが出来なかったそうです。しかしあきらめずに黒無花果と常に真剣に向き合い得た結果は、黒無花果の生命力を呼び起こす方法でした。黒無花果の木の根を切る方法は、黒無花果の生命の存続を危険にさらすものです。しかしこの方法で無花果は種を残すという、生命の種の保存の原則を呼び起こし、あれほど実がつかなかった黒無花果が実を付けるようになったそうです。口で言うのは簡単なのですが富田さんの黒無花果に対する思いが強く、いつも考え,考え抜いた結果だと思うのです。

この無花果の特徴は、ドーフィン種や蓬莱柿とは違い黒い皮も薄く中の果肉も濃い木苺の近いような色合いです。糖度もペクチン質も非常に高くぬめるような口どけと甘味が特徴です。また食べ終わった後は手や口の周りがべとつく感じがするのが特徴です。生命力を感じるものに葉の硬さがあります。とても葉が硬く油断すると顔などに擦り傷がつくくらい硬く、またななりくちから出る白い液体が、目に入ったりしたら半日ほどは、失明状態になるほど自己防衛本能が強いすなわち生命力が強い品種です。ですから食べてみると果実の力強い活力を感じることが出きます。

黒無花果ビオレ ソリエスに出会ったのが6年程前だったと思います。焼いた無花果を使ったタルトを蓬莱柿で作っていました。しかしどうしても納得できる美味しさを得ることが出来ませんでした。フランスみたいな美味しい無花果って日本じゃ無理かなとあきらめていた時に、ふとした時に出入りの八百屋さんに黒無花果とかありませんか?
と聞いたのが僕と富田さんのビオレソリエスの出会いです。最初に食べた時の感動は今でも鮮烈に記憶に残っています。それからずっと使いつづけています。黒無花果は生食でもとても美味しいのですがコンフィチュールやコンポートなど温かいデセールなど火を入れたものにより力を発揮します。今年は、ジェラートにも使用します。12月のジュラス オープンを楽しみにしていただければと思います。

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新作コンフィチュール

不知火と薔薇胡椒
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淡いオレンジ香の不知火をマーマレードに仕立てます。皮の持つ苦味も穏やかなのが特徴でしょう。新鮮なオレンジの香りと穏やかな香りでも充分おいしいのですが、少しだけ小さなショックの香りと辛味でエキゾティックな雰囲気を出したいと思い立ちました。オレンジとは違う爽やかな香りと苦味とのコントラストを表現出来たのではないかと思います。

苺とグリオット
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グリオットの花開くような香りと酸味がとても好きです。これをさちの香 苺と組み合わせます。さちの香 苺は実がしまり香りと酸味のバランスがすこぶる良い苺です。コンフィチュールを炊く時に僕が好んで使う苺です。ほかの素材と組み合わせても力負けしない主張をしてくれます。香りが華やかなコンフィチュールに仕上がりました。

白桃とグロゼイユ
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ピューレ状にした白桃と赤スグリの組合せは、今年の夏に発売したジュレの評判がよく、おなじ延長線上で考えたものです。ジュレの場合は浅い火入れで爽やかさを出すことを前面に考えました。しかし今回は深い火入れによる混沌とした中にも香りのブーケを特徴としたものを創れればと思い創作したものです。

サマーオレンジとバジル
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小学校の給食の時に出たビニールパックに入ったマーマレードが嫌いでした。苦いし甘いし科学的な匂いもする僕は、このおいしさがまるで理解できませんでした。その後大人になってからも好んでマーマレードを食べる事はありませんでした。フランス時代もあの深い炊き込みでキャラメルの嫌味な香りのするものを理解出来ませんでした。欠点は、日本人が思う果実の香りと柑橘系の特徴である爽やかな美味しさがないことでした。新鮮な果汁の酸味、香り皮の苦味とバジルの青い香りがオリジナルのマーマレードに仕上げました。

肥後栗とシナモン
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熊本の栗は、肉質も香りもよく僕が好んで使う食材の一つです。しかしヨーロッパの栗と比べると淡く芯の細さは否めません。しかしただ単純にヨーロッパのものを基準にしてもないものねだりで終わってしまいます。そこで発想を変え日本の情緒が残るような仕上がりにしたいと思いました。シナモンとバニラの香が栗の淡く細い香りに芯が通り、どこか懐かしくもあるコンフィチュールに仕上がりました。

アルフォンソ マンゴとバニラ
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アルフォンソ マンゴの力強い太陽の香がこのコンフィチュールの全てです。いろんな品種のマンゴがありますが僕が好んで使うマンゴは、この品種だけです。火を入れても生命力のある食感、香が残り充実した美味しさが鼻腔に広がります。マダガスカルバニラのエキゾティックな香との調和もこのマンゴあってのことだと思います。

ルバーブ
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信州戸隠の長峰さん
から届いたグリーン色の秋ルバーブは、ほとんど無農薬に近い状態で栽培されたものです。春のルバーブと比べると香とか酸味の線は、若干細いのですがこれは、これでとても魅力的です。リンゴや苺にも似た香がしますが、僕はルバーブの透き通るような酸味が鼻を抜けていく香が好きです。コンフィチュールに仕立てた数はあまり多くないのですが、機会があったら召し上がって見てください。

アルフォンソマンゴ、パッションフルーツ、イヴォワール
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南国同士の素材ですから、美味しいに決まってる。と決め付けて創ったものです。マンゴとパッションフルーツ太陽の子供みたいなものです。太陽の香りと温もりを凝縮したような果実とホワイトチョコレートのミルクの香りとの組み合わせの妙をお楽しみください。

その他にスタンダードな、苺、ブルーベリー、木苺は、常時準備してあります。そして近々に唐津、富田さんの黒無花果ビオレソリエスが炊き上がります。

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julass

今回は、新ブランドのジェラート ブティック julassについてお話したいと思います。

まずはじめに大枠でとらえるコンセプトをアルデュールの調理哲学(フィロソフィー)と融合させることでした。これからの将来的にも普遍的でジュラス、アルデュールともに歩んでいけるものと考えました。ちょうどその時期に様々な小規模な果実農家の方や酪農家の方たちと会う機会に恵まれいろんなことを考えさせられたいました。自然と共に生き、自然に畏怖や敬愛をもち生きる姿に感銘を受け、自分達が育てるものを愛で慈しむことは仕事の方法は、違えどもものを創り出すという行程は僕たちとなんら変わりのない姿でした。

自然との共生ジュラスのコンセプトの大枠が決りました。太陽の光や風、雨すべてが長い年月をかけ生まれたものです。その恵みを一身に受けた水や様々な果実そして農作物と健康な牛たちから生まれる牛乳などどれも生命を感じるもをでジェラートで表現できないかと思い始めました。

自然の生み出す素材の生命力と風味にほんの少しだけ作り手の創造性を活かしたものが、素材の良さを皆さんに届けられるのではないかと考えました。いたずらに技工に走ることはせず、自然の生命力と風味を活かすことが自然との共生に繋がるのではないかと考えました。そしてここから生まれる調理哲学でメニューを構成したのが12月開店時のメニューです。代表的なものを少しご紹介しておきます。構成は、クレーム グラッセ(アイスクリーム)ジェラート(牛乳ベース)ソルベ(シャーベット)の3タイプの氷菓をご用意します。

クレーム グラッセ

1、タヒチ バニラ 

アニスやフローラルな香りを思い出させるブーケが特徴。タヒチ島ライアテア地区限定の単一栽培バニラ。アラン アベル氏の作り出す希少価値の高いバニラです。

2、マダガスカル バニラ  

ブルボン バニラのなかでもチョコレートや干しブドウや乾草の香りのような特徴の深い香りのものを選びぬきました。卵黄、牛乳との素晴らしい調和を見せます。

3、塩キャラメル

キャラメルの苦みと懐かしさに、アクセントとしてフランス ブルターニュ ゲランド産 フルール ド セル(塩の花、一番摘みの塩)天然塩。自然の力のみで作られる塩は、ほんの少し淡い紫色そして何よりも旨味が詰まっている

4、プロヴァンスの百花蜜
プロヴァンスの明るい太陽の下で育った百花繚乱の花から蜜蜂によって集められた蜂蜜は、深い香りと力強さがある。希薄な蜂蜜を食べ慣れている僕たちには、この力強さに驚きを隠せなかった。まさに生命力のある蜂蜜だと思う。華やかな香りが特徴です。

ジェラート

1、白木牧場ジャージ牛の特別牛乳(ノンホモ)
日本で5社しか許可されていない特別牛乳の一つです。そしてジャージー牛乳は、ここだけです。太田さんが環境、飼育方法すべてにおいて愛でたジャージー牛が作り出す牛乳は、生命の雫だと思う。必要以上に手を加えずシンプルに作り上げたジェラートは、生命力という素材の価値の高さが勝負でした。

2、伊都物語牛乳(ノン ホモ)
かなりの数に上るノン ホモ牛乳を今回テスティングした中で選んだ牛乳が白木牧場と伊都物語でした。伊都物語の深いコクと味わいは自然のものから生まれたものです。健康な牛から生まれた牛乳の美味しさをお届けします。付け加えますがジュラスのジェラートのミルクベースは、伊都物語がベースになっています。

3、小布施産ブラムリーのコンフィチュール

小布施産の青りんごブラムリーは、爽やかな酸味が特徴のリンゴです。生色より火を入れることでその性質がよく出ます。まだまだ希少価値の高いリンゴですが小布施町の皆さんに協力いただいて今年はじめてコンフィチュールとしてジェラートのマリアージュを楽しむことができます。

4、利平栗

熊本産の利平栗をコンフィチュールに仕立てます。シナモンとバニラの香りが優しくミルクの香りと調和します。自然の栗の風味がどんなに素晴らしいかを感じていただけると思います。日本的な香りの響きです。


ソルベ 目指したものは、果実の生命力と新鮮な香りそして安曇野の水

1、青りんご

レネット種の青りんごの香りと質感を感じてもらうために少し粗めの仕上がりにしてあります。香り酸味どれも素晴らしく本来のリンゴを感じてていただけると思います。甘く優しい酸味を食べ慣れている私たちに林檎そのものを感じていただける美味しさだと思っています。

2、洋梨

洋梨の少し艶のあるエロティークな香りと口どけが好きです。果実感をなくさないために少しだけ粗めのピューレに仕上げています。ほんの少しだけ香りに膨らみを持たせるためにマダガスカルバニラを加えます。

3、苺

一種類の果実で美味しさを整えるという事は、果実のコンデションにもよりますがなかなかバランスの取れた果実は、少ないと思います。今回の苺も香りが豊かで甘味の豊かなものと酸味が強く野性味の残るものと合わせる事で、どことなく頼りない苺の風味や香りに芯が入りました。

4、ショコラ アメール

バローナ社のクール グアナラを使ったチョコレートのソルベです。僕は、新しいメニューのマカロン等のパートにも最近は、ココアは使いません。どうもあのかさかさした乾いたすえた香りが好きではありません。ですから今回のソルベにもココアは、いっさい加えません。ショコラの研ぎ澄まされたシャープさを表現しました。ぜひ今まで召し上がっていたショコラの氷菓と比べてみてください。

新しい提案として

ジェラートの付け合わせとして、ラスクを考えています。オリジナルのバゲットは北海道産の小麦、バター、甜菜糖、北見の塩など道産のものにこだわったものです。シンプルなものゆえに素材の質の高さが前面に出ます。バゲットの歯崩れ、バターの香り、甜菜糖の甘味、北見の塩の小さなショック!ぜひジェラートとともにお召し上がりください。新しい美味しさが広がります。

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