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2011年4月

仏手柑とげんこう

唐津の富田さんは、黒無花果が取り持つ縁で今ではアルデュールに欠かせない生産者の方です。
富田さんが作る果実は、どれも生命力あふれるものばかりです。本当にまじめに取り組まれる数少ない生産者で僕自身も非常に尊敬できる方の一人です。

この間少し時間が出来たので、久しぶりに柑橘類の収穫状況や冬の黒無花果の木の状態を見に行ってきました。富田さんが丹精込めて作っている仏手柑(ブッシュカン)やげんこうは、非常に珍しい果実です。どちらも香り高く今までに僕が出会ったことのない香りです。余談ですが富田さんの果樹園のなかに居ると柑橘系の香りとオレンジフラワーウォーターの香りに包まれて本当に幸せな気持ちになります。


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仏手柑はインド原産でげんこうは、佐賀県の馬渡島(まだらしま)が原産地とされていますが、あまりはっきりしていないようです。仏手柑は、柑橘類でありながら内側に果肉の房はなく表皮と渋皮だけでレモンとジャスミンを合わせたような香りがとても美しく部屋中がその香りで溢れるほどです。げんこうは、柚子と日向夏を合わせたような香りですが、げんこうの方が香り酸味とともに透明感があり京都の懐石未在さんでも使用されているのがうなづける果実です。仏手柑は、マーマレードにげんこうは、ソルベとマーマレードにと創造はふくらみます。

今回は特に仏手柑やげんこうもあまり一般に出回っていませんのでここで紹介しておきます。


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仏手柑 まるでエイリアンの手


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げんこう果樹園


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冬の黒無花果の木は、まるで流木


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宇治 丸久小山園

3月の末に京都大丸の出店にあたり、京都宇治まで足を運んでみました。目的は、前々からアルデュールで使用している丸久小山園さん和光の風味、甘味、苦味、渋みの本質とお茶の歴史が知りたいと思い急遽伺いました。


野放図に生きてきた僕ですから、お茶と言うものなど知る由もなくただ、ただ今までは自分の味覚、嗅覚、感性でお茶の選定をしてたに過ぎず、今回新たな今までに無かった抹茶のマカロンを創造するにあたり、抹茶に関する知識、教養、理解が恥ずかしいくらい出来ていないことに気付きました。これでは、新作を作るに表面上だけ理解した薄っぺらな美味しさしか生まれないではないかとを感じていました。

お茶を語るには、まず知らなくてはいけないことが、たくさんありすぎます。しかし日本人ですから、この本質の部分に触れずにお茶の美味しさを語ることが、非常に愚かな行為だと思うようになってきました。これは、物を作る人なら、物を生み出す人々への尊敬の念や感謝があって当たり前だと思っています。またその人を知りたくもなりますし、ひいてはそれに関わりあるすべての行程や素材を知りたくもなります。ましてやお茶に関すれば、その歴史背景が長大すぎて語るにも語れません。ですから今回の訪問は、あらためて「馬鹿には、バカ」と教えて頂いたような気がします。本当に知らないことが多すぎました・・・・。恥ずかしいくらいに。
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どこまで、僕がお茶に関して伝えられるかはわかりませんが、疑問に思ったことを何回かに分けてお話します。お茶に関して言えば歴史や禅宗、茶道など切りがないくらいあるのですが、今回はパテシェとして疑問に思った事をお話したいと思います。

濃茶と薄茶ってなんだろう?が今回の事の発端でした。
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濃茶と聞くと単純に苦くて渋いお茶を想像しますが、実は、色味も濃厚(ポタージュ状)になりますので苦味も渋みも強い下級品は適さず、最上級の抹茶のみで作られます。
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懐石の後に出されるお茶は本来は、濃茶です。
ですから通常皆さんがご存じの薄茶は懐石の後に出すものではありません。茶事では、濃茶が最も大切なもてなしであり、主客より飲み回しします。これを「吸い茶」と言い千利休が始めたと言われています。余談ですが小山園で頂いたお濃茶は、僕の記憶と心の中に鮮明に残っています。ただし、このボンクラには、茶事のなんたるかは皆目見当がつきませんでした。次回伺う時は、時間と心のゆとりとともに、弐畳の茶室で頂きたいと思います。

薄茶は皆さんがよくご存じの茶会で点てられるお茶のことで一段品質の低いお茶で苦みや渋みが強く出るため濃茶には適しませんが、私たち一般の人たちが感じる抹茶はこれです。ちなみに濃茶は点てるとは言わず錬るといいます。

濃茶、薄茶にもランクがあり小山園では、金輪から天授までの濃茶があり、僕らが知っている抹茶とは格別に価格も風味も違います。また薄茶は青嵐から和光までのランクがあります。アルデュールで使用する和光は、薄茶でも最上級の濃茶に近いものを使っています。

今回、新たに想像するマカロンは今までにないタイプのマカロンを目指しました。抹茶、クリームチーズ、柚子が題材です。京都を意識して創ったのは当然です。詳しくはまた別の機会に紹介しますが、問題は、マカロンコックに使う抹茶の風味の問題がありました。一般に私たちが想像する抹茶の風味は濃茶では非常に出ずらいものです。まず使用したのは、濃茶の金輪と薄茶の和光でした。マカロンのパートに抹茶を分量以上入れることは、パートの性質上出来ませんので上品な金輪だけでは、ぼやけてしまったのです。ここがお菓子の難しい所で、繊細な風味の抹茶は他の素材の風味にかき消されてしまいます。ですから単純に素材の良いものを使えばイメージ通りのものに近づくとも限らないことを知ることができたと思います。今回試作を繰り返すうちに濃茶の長所と薄茶の長所をブレンドする事を思いついたのです。濃茶の甘く切ない香りと奥ゆかしく心に染み込むような渋みと苦味、薄茶の攻撃的な香りと苦みと渋みを調和させてアルデュールらしい抹茶の世界を作れればと思い始めました。

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