想い出のマカロン日記

想い出のマカロン日記~その24

今年も残すところ今日を含めて、二日です。八月の一日に始めたこのブログも・・・・。

良くぞ続いたものです。最初は何書こうかなんて、思いながらそして小説家じゃ在るまいし続くのかな?なんて思いながら・・・・続くものです。

ほんとにこれは、皆さんのお陰で、こんな乱文にお付き合いいただいて僕のほうが恐縮しています。

ほんとにありがとうございます。

では、本題に入ります。

季節から、影響を受けるマカロンもかなりの数になります。

ストレートにそのものではなく、自分の感性や感覚、嗅覚から、もしくは視覚から聴覚、味覚の五感で感じた季節に僕なりの表現を加えたものです。

桜のマカロンもオープンした次の年から、桜の季節、一ヶ月くらい前から発売する商品です。

日本人のに対する思いは、一方ならぬものがあると僕は思います。これは、歳を重ねるごとに、僕の場合は、強くなっているようです。

余計な話ですが、春先の沈丁花の香りが立つ頃、そして舞う頃、そして雨の紫陽花、遠くから香る秋の金木犀

僕が、日本に生まれてよかったと思う季節の風情です。

沈丁花は、奥ゆかしく香り。

桜は、舞い散る美しさ。

雨のしずくの美しい紫陽花。

凛とした香りの金木犀。

日本人に生まれた事を誇りに思えること、それが季節でもあるのです。

こんなことを思いながら、新しいマカロンの創造に繋がるのですから、必然的に日本の情緒を加味したものが増えていきます。

でもそこは、フランス菓子の技法がベースにはありますので、思わぬ組み合わせがお目見えする時が有ります。

その代表的なものが、煎茶とパッションフルーツのマカロンではないかとおもいます。

これは僕自身、奇をてらったものではなくて・・・・。

福岡は、葉桜と供に近隣の山々が新緑に変わり始めます。その頃の生命の息吹が初夏への香りも一緒に運んできてくれます。

なんで、煎茶かなと自分で思うのですが、これは説明しようがありません!

ただ季節柄、新茶の季節で、身近にお茶の発祥の地でもある八女もあることが、かなり影響をしてるんじゃないかと思います。

パッションフルーツは、夏の果実です。でも僕にとっては、初夏を運んでくる果実の香りです。

つんとした爽やかな幸せな香りが、お店いっぱいに広がり・・・・。

香りはいつまでも続き、初夏の太陽のような優しい温もりのある香り・・・・。

僕は、パッションフルーツは、あえて早春の頃から初夏までの間で使うのが好きです。

そんな僕の初夏に対する想いから偶然に生まれた組み合わせです。

作る前から、味香りの創造は出来ていました。

違和感なんて、ぜんぜん感じることもありませんでした。

爽やかな初夏に似合うマカロンが創造できたと思っています。

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想い出のマカロン日記~その23

12月になると通常の仕事が忙しくて、ブログが滞っててしまうなんて書いておきながら今日は珍しく時間に余裕が出来たんで、この間からお話しはじめました何から影響を受けて、マカロンの香りや味のイメージに繋がったかをお話します。

今回は、料理編です。

影響の受け方も様々で、直接に発想のヒントになるものや間接的に発想のヒントになるものが有ります。今回はここら辺りを書く事にします。

まずは、バルサミコ酢からです。

この素材は、間接的にヒントを得た類です。

皆さんの想像どおりイタリアンを食べてて思いついたと言いたいのですが、残念ながらこのヒントは僕がよく行く、懐石のお店の料理からヒントを得たものです。

その料理は、軽くあぶった新鮮なカマスとピンクグレープフルーツのジュレ、あまりに衝撃的で美味しかったを覚えています。

ちょうど、夏前だったと思いますが、あまりにも斬新な取り合わせなんで非常に記憶に残っていました。

ここのご主人は、僕の和食の先生みたいな方で僕に懐石の頂き方を手ほどきをしていただいた方です。

最初に伺った時の印象は、料理は、基本に忠実で、下処理の段階から最後まできっちりとした仕事振りに感嘆したものです。

料理自体はけっして華美ではなく器とのバランスが美しくその素材の主張をするべく所をきっちりと表現されている料理です。

簡単に言うと、余計なものをそぎ落とした研ぎ澄まされた料理です。少し前置きが長くなりましたが、そこのカマスの料理がバルサミコ酢マカロンの発想の種です。

僕の悪い癖は、もしこの料理を僕が違う表現で作るとしたら、どの魚でどんな調味をするだろうなんて考えてしまう事が多々あって・・・。

これには、僕もいささかの料理経験があるのが影響しているのではないかと思います。

まず思いついたのが、さよりを軽くあぶって、同じ季節の果実のジュレを作ります。そしてジュレのベースの風味は、土佐の黒酢辺りでいかがなものかしら?と頭の中で組み立ててみます。

食べ終わって自宅に帰る電車の中とかで、今日出た料理を振り返りながら・・・そして自分なりに新たな料理を構築してみたりします。これは僕の味覚表現の訓練方みたいなものです。

そんなこと考えながら帰ります。そしていつも通りの仕事を次の日も次の日も繰り返します。ごく当たり前の仕事をしながら、食べたものの記憶や電車の中の事をふと思い出す事が有ります。

僕の職業は、菓子を作る仕事です。

料理の中から気になる要素を抜き出してお菓子に表現してみます。最初はバルサミコ酢を単純に振り掛けて食べてみます。

あんまり美味しいものではありません!!

では少量の砂糖を加えて・・・いやかなり多目の砂糖を加えて酸味が飛ぶまで煮詰めます。そして冷まして、苺のソースにします。

そして、シャーベットを添えます。新鮮な牛乳のソルベ!!

甘味はナチュラルな、菩提樹の蜂蜜がいい!!

苺は、軽くキャラメリゼした苺と生のままに苺を添えます。これでデザートが一皿完成しました。

これは、僕の頭の中で想像されたものです。この時点での試作はする事はありません。基本的には、僕が物を作るときは、味とか香り食感の確認の作業の為に作ります。

そしてこの中から、火を入れた苺とバルサミコ酢を抜き取ります。もちろんマカロンのフィリングの為です。

苺をコンフィチュールにします。

でも最初から、わかっています。このコンフィチュールではマカロンのパートに力負けするのが・・・。

深く香りや酸味、甘味の強いセミドライの苺でコンフィチュールにします。しかしこのコンフィチュールには新鮮な香りが足りません。

新鮮な香りは、酸味が入る事により表現する事が出来ます。ですからここで、バルサミコ酢は、大胆に火をいれずダイレクトに加えます。

少しつんとするくらいまで加えます。そうする事によって、バルサミコがお互いに主張しあいながらも、思いもよらぬハーモニーが生まれます。

その他には、鳩のローストのガルニチュールでキャラメリゼした洋梨に少量の黒胡椒のミニョネットは、洋梨と黒胡椒のマカロンに!

アラン サンドランスの料理本より、鴨のロースト、チョコレートソースは、ゲランドの塩とチョコレートのマカロンに!

カクテルからは、ソルティードッグ!グレープフルーツのコンフィと岩塩のマカロンに!

改めて振り返ってみると料理からもこんなに発想のヒントがあるもんだななんて思っています。

次の機会は、季節から影響を受けたものを紹介します。

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想い出のマカロン日記~その22

前回の続きを今日は、お話します。

胡桃とコーヒーのマカロンもお菓子からヒントを得たものです。確かラルースのデザートに登場する、グルノーブルワというお菓子があったと思います。

とてもクラッシックなお菓子です。コーヒーのバタークリームと胡桃のビスキュイのお菓子です。昔のお菓子ですからしっかりとした甘味があって重く存在感のあるお菓子で、コーヒーと胡桃の朴訥とした力強くてフランスの香りに溢れたお菓子です。

若い頃にクラッシックなお菓子が勉強したくて、フランスに行った時に買い求めた本ですから表記は全部フランス語です。辞書片手に訳しながら多分こんな作り方をするだろうと想像しながら試作を繰り返したのを覚えています。

懐かしいなー。

その頃は、ひたむきにとても純粋にお菓子を作っていたような気がします。

そんな記憶が、このマカロンを作った時に思い起こされます。

それと、もう一つのヒントは、ヌーベルパテスリーの頃登場した、ドゥフィノワです。

このお菓子は、グルノーブルワを現代の嗜好にあわせコーヒーのカスタードムース、クレームムースリーヌとし、軽くそして胡桃のヌガーと胡桃のビスキュイ ジョコンドで構成したお菓子です。

このお菓子を始めて食べた時は、ショックでした。

軽やかな胡桃のヌガーの歯ざわり、コーヒーのムースリーヌのコクがあるのに優しい香りと口どけ、ビスキュイの胡桃とアーモンドのリズミカルな食感そして、ほんの少し仕上げに使われるコーヒーのバタークリーム。

きっとこのお菓子の原型は、グルノーブルワだとお思われます?

この二つのお菓子から影響を受けたのがコーヒーと胡桃のマカロンです。

お菓子が時代の変化を受け変わるように、僕自身のマカロンも影響を受け変わっていきます。

最初頃は、マカロンのパートにコーヒーのエッセンスを入れコーヒーの香りが立つようにそしてクリームも同じコーヒーのエッセンスを加え少量の胡桃を入れサンドした形で提供していました。

でも、でも??

フランス過ぎて面白くないが、新しいマカロン誕生のきっかけです。

今のスタイルは、少量のコーヒーのエッセンスをマカロンのパートに入れます。さらに細かく引いた深入りのコーヒーをパートの中と表面に振りかけ、歯ざわりと香りに変化をつけます。

美味しさと言うものは不思議なもので、コーヒのカリッとした食感と苦味がやや強くが時々口の中で顔を出します。これが僕の狙いです。

同じ味が続くより存在感と美味しさにふくらみが出ます。苦いところ苦くないところ、在った方が不思議と美味しく人間の味覚は感じるものです。

わかり易く、言うと、例えば皆さんが家庭で生クリームをホイップする機会がある時に是非試してみてください。

これは甘味についてですが、一つは砂糖を最初から入れて泡立てた生クリーム。

もう一つは、砂糖ナシで泡立てた生クリームに分量の砂糖を最後に軽く混ぜ合わせたもの。

この違いを是非試してください。

僕は、断然、最後に砂糖をいれ軽くあわせただけの方が美味しく感じます。なぜかは簡単です。甘いところ甘くないところが微妙に在った方がクリームの香りや甘さの変化がありふくよかな香りや口どけの変化が生まれます。

これが同じ生クリームなの?このくらいの違いです。

話をマカロンに戻します!

コーヒーのバタークリームはクラッシックな卵黄の多目のバタークリームにコーヒーのエッセンスとかなり多目の胡桃のみじん切りを加え歯ざわりの楽しさと緊張感を加えます。

これで、うんと楽しくそしてARDEUR独特のコーヒーと胡桃のマカロンの完成です。

次回は、料理から影響を受けたマカロンを紹介します。

洋梨

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想い出のマカロン日記~その21

久しぶりに、マカロンを振り返りたいと思います。

ダマスクローズ以来、話が中断していますので少し昔を振り返りながら・・・。

よく、発想はどんなところからヒントを得てるんですかなんて聞かれる事も有ります。この場合いろんなパターンがあるので、わかりやすいものを選んでマカロンになるまでをお話します。

従来のお菓子デザートから得るもの。

料理から得るもの。

季節や祭事から得るもの。

新しい時代嗜好を感じながら得るもの

だいたいこのくらいの思考のカテゴリーの中から選択したり、組み合わせしていると思います。

では、まず従来のお菓子デザートから得たものを、紹介します。

キャラメルとゲランドの塩のマカロンは、ARDEURで一番人気のあるマカロンです。そしてこのマカロンは、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ル ルーさんの塩バターキャラメルからヒント得たものです。僕は。ル ルーさんのキャラメルが大好きです。絶妙の塩加減とカラメルの甘味と苦味のバランスそして口どけが素晴らしいと思います。初めて食べた時なんて、あんまり美味しくて五、六個いっぺんに食べたと思います。このキャラメルの記憶が僕の中にあったのだと思います。

最初は単純にスタッフがキャラメルのマカロンを試作していました。食べた印象はマカロンのパートの甘さに負けてなんとなくキャラメルの味のするありきたりな食感と香りでした。

ここから今のキャラメルのマカロンへ変わっていくまでを簡単に説明します。まずパートの部分にキャラメルの破片を散らして焼き上げます。

キャラメルがパートに溶けてなかなかの雰囲気です、「いいじゃん!フランスぽくて」

でも時間がたつと湿気の多い日本では、直ぐにその部分から湿気を吸い始めパートが汚く食感もねちっとして、すごく不快です。「これパス!ぜんぜん駄目」

じゃーアモンドは?歯ざわりも良くて楽しい「これは、正解だね!これにしよう!」

しかし、それなりに美味しいんだけど?でもなんか、もう一つピンとこない感じが残ります。

「なんかキャラメルのクリームが、しまりがないなー」

「そうだ!塩入れてみようか?」

「いいねーいい感じ」

ここからの塩加減は、味覚の勝負です!

パートとのバランス、バタークリームとのバランス、全体のテクスチャー、お客様の層や嗜好、味の流行などいろんな事を加味しながら考えます。

そして自分の好みの塩加減とのずれを、自分で納得させながら。

僕としては、もう少しきつめの塩味が好みかな?

でも、独り善がりは危険です!

1グラム、2グラムの塩で印象がずいぶんと変わります。それとカラメルの焦がし具合とのバランスが全てです。慎重に味見を何回も繰り返しながら分量を決めていきます。

この作業は、僕だけの仕事です。最初に新しいものを作り出す時は、僕は自分だけの味覚と嗅覚を信じます。それは、そのお菓子のイメージは僕だけしか分かっていませんから、あらかた味が決まるまでは、一人の孤独な作業の繰り返しです。簡単に言えば、ウイスキーのブレンダーみたいな作業です。

だいたい味香りが決まるとスタッフの意見を聞きます。でもこれも難しくていろんな意見が出ますので、最後はやはり自分の味覚と嗅覚を信じます。

こうやって塩バターキャラメルのマカロンの味が決まっていきます。

「うーん!いい塩梅」

余談ですが、この塩加減一つでも日本語の表現力の素晴らしさを感じます。

でも、使ってる塩はゲランド産の塩です。僕も日本の塩やイタリアの塩や岩塩なんてのもたくさん使いましたが、個人的には、僕のお菓子に欠かせないのはやっぱりゲランド産塩です。

塩辛さが、直接舌に刺さないから好んで使っています。日本の塩より少し多めに使った方が、折りパイやブリゼなんかでも味が、びしっと決まります。

伊予柑

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想い出のマカロン日記~その20

昨日に引き続いて、ダマスク ローズの話をします。

素晴らしい素材があると僕らは、その素材の特徴を最大限に引き出すのが仕事になります。この理論が解るのに僕の場合は、ずいぶんと時間を必要としました。

このバラの高貴で、優しさに満ちた香りは、余計な、パテシェとしての老婆心は必要としませんでした。若い頃、僕の場合、自分が作ったマカロンなどのお菓子が可愛くて愛しくて仕方ありませんでした。販売しないで自分で全部食べちゃおうかなんて時もあったりしました。

ですから、そのお菓子への思いが強ければ強いほど、自分らしさとか、この味は自分しか作れない味だなんて、思い上がった感情がニョキニョキ頭を出してきます。

これがほんとに質の悪い私心です。この気持ちを抑えるようになると、素材への尊重が生まれるような気がします。

余計な事はしてはいけない。複雑にしては駄目なんです。

パテシェとしての技量を見せる必要もないのです!

素材を尊敬しその力を信じる事です。

ほんの少しだけ、手伝えば大丈夫です。

少し、僕なりに感じるフランス料理と日本料理の違いみたいなものをお話してみます。話が横道にそれますが、お付き合いください。

フランス料理は、足し算の料理です。味香りが足りなければ、より力の強い素材を足し、新たな味を構築します。これは、フランスの文化性や国民性によるところだと思います。己が存在する事で他がある。人間性としては己の主張が強く要求されると思います。ところが日本料理は、引き算の料理です。余計なものを殺ぎ落とし、そのものを生かそうと考える料理です。これは日本人の独特の感性です。まず周りを考え自分を考える。仏教用語で言うと利他がこれにあたる言葉だと思います。ですから子供の頃から僕等の躾は、ここを中心に教育を受けます。

この考え方が根本に有りますから、僕も年齢を重ねてくると素材を活かすシンプルな考え方が生まれてきました。

若い頃のルセットをたまに見ることが有ります。いろんな複雑な工程や素材をたくさん入れ込んだ、複雑で自己主張の強い、ぎすぎすしたお菓子の羅列です。簡単に言うと頑張りすぎてるお菓子です。

このダマスクローズを通して、自分の過去を振り返る事が出来ました。そして素材の素晴らしさを活かすための方法や創造性を学んだ気がします。

ただ闇雲に工程や味香りを複雑にするのが創造ではないのです。勇気をもって単純にする事で新たな創造が生まれることを知りました。

僕にとっては、ダマスク ローズは、その指針だったかも知れません。

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想い出のマカロン日記~その19

ダマスク ローズってなに?

バラのマカロンを作りたいという衝動に駆られだした僕は、まずは、バラのリキュール、バラの花水、食用のバラのパヒュームなど、メーカーを替え探したり、人伝に探してもらったり、アナログ人間の僕は、ネットで検索なんて考えもつかず・・・。

でも、どれも香りに力強さがなかったり、人工的な香りがしたりで僕には、どうも納得がいきませんでした。

僕が食べ物で嫌いなものは、意図的に作られた香りがするものが一番耐えがたいものです。簡単に言えば人工的な香りです。鼻の奥にいつまでも残る不自然な香り、我慢が出来ないくらいです。ですから、僕が作るマカロンなどのお菓子は、香料と呼べる物はほとんど使いません。

ただ例外的に若干は、微量ですがマカロンでも使ったものは有ります。

とにかく自然の生命力や活力が溢れる素材が好きです。

話はずいぶんと横道にそれましたが、バラの話に戻します。それでも僕は、そのバラの素材で、マカロンを作っていました。でも間の抜けた香りで、頼りなく納得がいくマカロンが出来ません。バラのお酒を煮詰めて香りに深さを出したり、香料でごまかしたり、クレーム オ ブールをイタリアンメレンゲに変えてみたり、考え付くもの全て試してみました。でもそれなりに美味しいのですが、マカロンからは心が高ぶるようなバラの香りはありません。

そうこうしていると、二年近く過ぎていました。アルデュールもオープンして三ヶ月くらいたった頃です。偶然にもそのバラと出合ったのです。

求めよ、さらば、与えられん!

思っていれば、叶うものです。

ダマスク ローズ!

ブルガリアのバラの谷に咲く小さな可憐なバラです。後で知る事になるのですが、バラの中でも香りが強く最高のバラと称されるバラです。僕は、このバラに出会うことで本当のバラの香りを知ったのが事実です。取り立てて僕は、バラの花が好きだったわけでもありませんが・・・いやいや・・・嫌いでした。だって男の僕が・・・分かりますよね?今だからほんとに香りのいい香水が出回ってますが、昔のバラの香水のイメージは、安っぽい場末の香りでした。そのイメージをこのバラは、覆してくれました。参りました降参です。

特に、このバラで作られたコンフィチュールがなかったら、アルデュールのバラのマカロンや、バラのボンボンショコラ(ジュンヌ)は登場しなかったと思います。

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想い出のマカロン日記~その18

抹茶以来、僕の和素材への傾倒は続きました。

マカロンの素材の組み合わせも、どんどん自由な発想が生まれてきます。今も人気が続く抹茶とあんこのマカロンもこの頃の発想から生まれたものです。抹茶のキルシュ風味のクリームや伊予柑とオレンジ花水、煎茶とパッションフルーツ、和栗とオレンジなどの和洋のカテゴリーにとらわれないマカロンが登場してきました。

どれも、その当時としては斬新な組み合わせで、よくお客様にどんなマカロンか想像がつかないなんて言われていました。

話は少し変わりますが、今日のラジオ出演でアルデュールマカロンのカテゴリーのクレアシオン(創造)のお話になったときの事です。ふっと僕の頭をよぎったのが、一番最初の創造的なマカロンてなんだったんだろうと、頭の中を疑問が渦巻きだしました。

大事なきっかけの味です。

それは、ダマスク ローズ(バラ)のマカロンだったのを思い出しました。まだシーホークにいる頃ですから五年位前の話です。ピエール エルメがイスパハンを出した頃だったように思います。バラと木苺とライチ マカロンのプティ ガトウです。これは、僕の常識を超えたお菓子でした。

バラ?花でしょ?何でそんなの食べるの?が第一印象です!

そう!あの時もそうです

石鍋シェフと仕事した時も!

ローラン ぺリエとバラのソルべ!この美味しさは、その当時25歳の子供の僕には、大人の香り漂う色気のある風味についていけませんでした。シャンパンだけならまだしも、それに香りの想像すらできないバラ!

この組み合わせは、まだ子供の味覚の僕には太刀打ちが出来ませんでした。

でも経験と言う時間は、僕の味覚、嗅覚の成長を助けてくれました。イスパハンが何の違和感も無く染み入るように美味しく感じました。

そう!またひとつ理解できなかった、味、香りを理解する事で僕自身の、味覚と嗅覚の領域は、格段の広がりを見せました。

そう!バラの香りを理解する事で・・・。

そして、新たに創造することで、自分の既成概念を破る事になっていく事に気付かされた出来事です。

バラの香りは、そのくらいの力と神秘性が僕には、あるような気がしたのです。

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想い出のマカロン日記~その17

抹茶の話を続けます。

今風に言うならば、僕のお気に入りの素材です。宇治の和光という、お抹茶が僕のお気に入りの素材です。

抹茶は、皆さんご存知のとおり、安価なものではありません。やはり、僕らが使う抹茶の範囲にも有る程度の限界があります。

美味しいさと価格のバランスが取れてなければ、仕入れる価値が無いのは、言うまでもありません。ただその質がよいとという理由だけで価格を考えず仕入れると、そのときは美味しいものを作れても、継続がおぼつかなくないます。

ただ美味しいという理由で安易に仕入れが価格が高ければ売値価格の高さが、お客様に反映するわけですから、僕のマカロンなどのお菓子作りを通して大切にしている事は、美味しいものこそある程度の方たちが食べられる納得の値段てなくてはならないと思っていますので、意に反するわけです。

不思議なもので、僕らの仕事は自然の産物が相手の仕事です。ですから、この素材が今年よかったから来年も素晴らしいなんてことはなくて、農作のブランド化はよい事だとは思いますが、僕の場合は、ある程度の参考にするだけで、盲目的に使用する事はありません。

だから僕らは、常に美味しいものの基準値をしっかりもっておかなくてはなりません。

そんな考え方で選んだ、良質の抹茶です。

常に新鮮な状態で届けられ、酸化した香りも無く、すがすがしい香りと清廉な芯のある風味があります。この抹茶に出会ってなければ、今のうちの抹茶のマカロンも生まれていなかったと思います。

ただ埃くさくて、青臭く酸化しているだけの香りのする抹茶では、今後の創作意欲にもつながらなかったと思います。抹茶ひとつの出来ごとですが、今思うと、マカロンの和素材としての扉を大きく開けてくれたのは事実です。この出会いがマカロンだけではなく、生菓子やチョコレートまで発展して行ったのです。

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想いでのマカロン日記~その16

柚子の話は、このくらいにしておきます。

柚子で、フランスの呪縛からとき離なたれた僕は、伊予柑や胡麻、和栗など日本的な素材を探しては、マカロンやお菓子に試していきました。創造も一のつきっかけで、箍が外れたように、何にもとらわれることなく自由な発想が湧いてくるようにになりました。

ただ、僕の中にある、この素材がフランスにあったらフランス人のパテシェは、どのように解釈してマカロンなどに使うのだろう?が僕のマカロンなどに和素材を使うルールです。

フランス的な手法、創造がなければ、和菓子との境目がなくなってしまい、なんでもありが許されてしまいます。

例えば、抹茶のお菓子にあんこが上に乗っかって、木の芽が乗ってるなんてことは、素材の相性は良くても僕のフィルターは通れません。あくまでも、この素材を調味する事が大切で、組み合わせの妙みたいな表現を心がけています。

抹茶の話が出てきたので、僕が嫌いだった理由をついでにお話します。

子供の頃から、抹茶飴や茶そばが大嫌いでした!!

埃くさくて、青虫をを踏み潰したような匂いが僕は、許せませんでした。今も嫌いかって?

今は、大好きです。

今までにも抹茶のお菓子は、事あるごとに作ってきました。抹茶とチョコレートとプラリネのお菓子やホワイトチョコレートと抹茶のジュレのお菓子。どれも評判の良かったお菓子です。

でも僕は、心から美味しいと思えませんでした。それは、抹茶が美味しいと感じなかったのが一番の理由でした。

抹茶ってこんなに美味しくないの?こんなの作法もうるさいし、みんなありがたがって飲む方がおかしい!

僕が、今のこの抹茶に出会うまでは!

人が本物を知らないというのは、ほんとに不幸だという事を実感しました。それらしい香りや味のするものを作り手が本物だと信じて使うことの屈辱感を・・・またこれを知らないまでも製品にして販売する。

僕は、作り手として恥ずかしい事だと今でも思っています。それぞれのお店の事情によって使用できる素材の原価は違ってきます。最高のものをつかえるお店もあるし、そうでないお店もあります。

でも本物の味や香りを知っておく事によって、その味に近づける努力をしようとするのが作り手の良心だと僕は、思っています。

僕は、この抹茶に出会ったことで、素材への敬意と本物を知らないまま、美味しくないものと判断してしまう愚かさに気づかされた気がします。

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想い出のマカロン日記~その15

早いもので、マカロンについてのブログを始めて一ヶ月以上経ってしまいました。

最初の頃は、こんなつたない文書読んでくれる人いるのかしら?もし読んで頂けるなら申し訳ないなーなんて思いながら書き始めました。ところが一ヶ月も経ってしまうと人間て、ずうずうしくなるもので・・・・。

あの謙虚さはどこへやらで、五年くらい経ったらどんな文章でどんなにずうずうしく、厚顔無恥に加えの恥の上塗りをしていくんだろう?とか思うとぞっとします。

でも、こうやって自分の過去を振り返りながら、その当時の事を思い出して懐かしんだりできるのも幸せな事だと思っています。

マカロンだけでも、失敗が沢山あった分だけこんなに書けるものですから、自分でも不思議な感じがします。もしパテシェの若い子達がこれを読んで勇気付けられたらいいのにな何てことも感じます。

だって、今でこそ多少なりともお菓子がわかってきた不器用な僕が、若い頃は、誰にも負けないくらいの失敗を繰り返した結果が現在の結果です。だから、現状がうまく出来なくても諦めないで、諦めないで一生懸命に続けてもらえればと思います。

けっして僕自身は、器用な方でもなくて、いやいや不器用極まりないくらいでした。今振り返るとこの不器用さのお陰でマカロンの話も沢山書けるものですから何が幸いするかわかりません(苦笑)

では、もう少しマカロンの話を・・・

最初の和素材のマカロンは、柚子でした。

これは、個人的に僕の好みの問題で、子供の頃もお吸い物に季節柄、柚子の皮ではなくて橙だったり、ひどい時はみかんの皮なんて時は、言葉には出しませんでしたが、ひどくがっかりしたませたガキでした。そしてすっぱいのも大好き、梅干を初め、昔の夏みかんとか唇がしびれるくらいのやつが好きで、みかんも出始めの青いみかんが大好きでした。

そして柚子は、その頃の僕にとってはヒーローです。橙でもすだちでもカボスでもなく柚子です。なぜかしら大好きでした。今でこそ大人になった分だけ生意気に気品に満ちた高貴な柚子の香りは凛として香りの中に静寂があるなんて思ったりもしますが、子供の頃なんて・・・。

そんな僕ですから、この日本的な香りや苦味をフランス的な表現でマカロンと組み合わせを思いつくのも必然だったかも知れません。

和素材マカロンのきっかけは柚子が始まりです。そしてこの入り口が僕が大嫌いだった抹茶へと繋がるのです。

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